HIDABITO
長い歴史と、自然に囲まれた飛騨高山。
「人々」「自然」「文化」が共生する様は現在の日本や世界に大きなヒントを与えてくれます。飛騨高山で生活する人々=飛騨人(HIDABITO)を起点に過去、現在、未来をご紹介します。
HIDABITO 001 飛騨産業 板屋 敏夫 氏
木と共に生きる現代の名工が 滝の流れる原生林を歩く
十三ある滝の源に向かって進んでいくと、ひんやりとした空気が身体を包み込む。滝のあげる水煙と、その周りに立ち並ぶ大樹の呼吸の両方が、辺りをしっとりと潤ませているのだ。
HIDABITO 002 平湯民俗館 若月 加代子 氏
静寂の中に生命のぬくもり 山々に囲まれた伝説の湯
かちん、かちん、かちん。
平湯民俗館・食事処の縁側でくつろいでいると、朴葉、ナンテン、トチなどが茂った木立のそこかしこから、高い音が聞こえてくる。
HIDABITO 003 飛騨茶屋 寿美久 住 忠 氏
文豪が愛した飛騨の味 石臼で挽くそばの香り
店に入って左手の壁に、特大の絵馬が飾られている。家の外から中に向かって駈ける馬の絵は、飛騨地方ではおなじみの縁起物だ。
心地よい広さの店内を見回すと、入り口側の壁に飾られた額にも目が止まる。
HIDABITO 004 氷点下の森/秋神温泉旅館 小林 繁 氏 (享年79歳)
飛騨を愛する山の名人が40年かけて築いた幻想世界
JR高山駅から、車で約40分。人里を少し離れ、シーンとした静けさに包まれた先に待っていたのは、想像を遥かに凌ぐスケールで構成された「氷の森」だった。
HIDABITO 005 温泉民宿 お宿のざわ 野沢 陽子 氏
奥飛騨生まれ奥飛騨育ち飛騨高山について新たな挑戦の始まり
それぞれ泉質の異なる5つの温泉からなる奥飛騨温泉郷。その中でも最も南に位置する新平湯温泉エリアにはこの日、大粒のぼたん雪が降り続いていた。
HIDABITO 006 みちや寿司 おきむら家 沖村 道也 氏
ブリ街道を越え届けられた海の幸を山間の小京都でいただく
飛騨高山の名物と言えば、誰でもまずに頭に浮かんでくるのが、きめ細やかなサシの甘味と豊潤な味わいで有名和牛ブランドの地位を築き上げた飛騨牛。その他にも、みたらし団子や朴葉味噌、高山ラーメンなどが控えている。
HIDABITO 007 平瀬酒造 平瀬 克祐 氏
400年の歴史に導かれる豊潤な日本酒 その入り口がここにある
「お米の表面というのはビタミン、ミネラル、タンパク質が含まれていて、お酒にするときには雑味になるんです。そのため中心の良質なでんぷん質だけを使うために、削りあげるんですね。その割合を精米歩合というんですが、40%だけ残したものを使うのが純米大吟醸なんです」
HIDABITO 008 西田木工所 西田 恵一 氏
電球の明かりのもとで作られる木目の美しい飛騨春慶塗 その技術を未来に伝える
「木材から加工した薄い板を独自の技術で加工し、木目を活かした漆器である春慶塗は、盆や弁当箱、茶器など現代でも人気を集める塗り物。秋田県能代市の能代春慶、茨城県城里町の粟野春慶と並び、日本三大春慶塗として古くから知られているのが、ここ高山の飛騨春慶塗だ。
HIDABITO 009 有限会社飛騨山椒 内藤 一彦 氏
段違いの香りは半径5キロ圏内で栽培 海外評価も高い飛騨山椒
冬にはあたり一面が白銀に包まれるも、春ともなればまったく異なる姿を見せてくれるここ奥飛騨。きん、と冷えた空気に耐えた後、花を開く桜の見どころは平地より1ヶ月遅い4月下旬。
HIDABITO 010 平田正仁店 平田 法子 氏
陣屋前朝市で50年、生産農家の自家製漬物は国境を越えた母の味
観光客にとって、高山の夜は魅力的なものだ。飛騨牛や、朴葉みそ、ブリ街道を渡ってきた季節ごとの鮮魚たち。ついつい久寿玉や山車などの地酒が進んでしまうのも無理もないが、
HIDABITO 011 義基 義基 憲人 氏
呉服屋を継ぐことから始まったきりえ作家としての人生は飛騨高山から世界をつなぐ
高山市内を南北に流れ、桜や柳など季節ごとに美しい風景を見せてくれる風光明媚な宮川。高山観光の人気ポイントにもなっている宮川朝市が開かれている鍛冶橋付近に、観光客がふと足を止め、ウィンドウ越しに見入っている1軒のギャラリーがあった。
HIDABITO 012 有限会社若田ファーム 若田 貴男 氏
生きもの相手に近道なし、厳密な管理と実直な仕事が質の高い飛騨牛を生む
高山駅近辺からレンタカーで40分ほども走ると、景色はすっかり変わり、すっかり山に囲まれたのどかな風景が広った。それにも関わらず、頭の中では前日の取材後に食べた、
HIDABITO 013 野畑茶舗 野畑 和久 氏
気軽に楽しむお茶文化から、高山と言う町ならではのおもてなしの心を
日本のちょうど中央あたりに位置しており、古来から京都とのつながりが深かった飛騨高山。元禄8年(1695年)からは幕府の直轄地となったこともあり、東西の文化を入り混じらせることで、独自の文化を今日まで築き上げてきた場所だ。
HIDABITO 014 萬代 橋本 猛 氏
主人自ら仕入れに出かけ、地の素材をふんだんに使った歴史ある懐石料理
伝統的な古い町並みの残る、高山の城下町。まるでタイムスリップしたかのような厳かな雰囲気を作り上げているのは、建物の雰囲気はもちろんのこと、様々な業種における老舗が過ごしてきた時の厚みだろう。
HIDABITO 015 つづみそば 鈴木雅成 氏(享年70歳)
創業61年昔ながらの味は変えてない、極上スープの正統派高山ラーメン
情緒あふれ古くからの景観を残す市内の町並みで<高山ラーメン>の看板をよく見るが、数あるお店の中でも、朝日町にある繁盛店【つづみそば】を尋ねた。
HIDABITO 016 千光寺 大下 大圓 師
はるか遠く昔からある木造建築の中の静寂 円空も逗留した山寺で
静寂に包まれた高山はの一角にある【千光寺】は、1600年前に豪族両面宿儺(りょうめんすくな)が開山し、約1200年前に真如親王(弘法大師の十大弟子の一人)が建立された由緒ある古いお寺。
HIDABITO 017 テディベアエコビレッジ 瀬戸山えい子氏
200年合掌造りを古民家を再生、あらゆるひとに優しい愛が伝わるパワースポット
市内からほどなく、なだらかな山の中腹を登ったとこるにある築200年合掌造りの重口な古民家。100年以上も大切にされてきたピンテージベアやオリジナルベアを取り扱う【テディペアエコピレッジ】は
HIDABITO 018 津田彫刻 津田亮友(すけとも)氏、亮佳(すけよし)氏
6代目兄弟が守る一位一刀彫、年月と共に風合いが増す木肌と木目の美しさの妙
宮川にかかる赤い襴干(らんかん)の中橋。反対側を向けば、全国で唯一現存する江戸時代の代官所、高山陣屋。
HIDABITO 019 稲豊園 中田専太郎氏
伝統的なまんじゅうの製法に、新しい仕掛けを加えて高山から全国へ発信
三毛にトラ、白と、なんとも愛嬌のある顔立ちの猫が5匹。「招福猫子( しょうふくねこ)まんじゅう」と名付けられたこのまんじゅうは、皮生地も中に包まれたあんも5種5様。
HIDABITO 020 株式会社駿河屋魚ーフレッシュフーズ駿河屋 代表取締役社長溝際清太郎氏
高山の人々から受けてきた御恩に感謝しながら「地域を食で支える」気概
高山バイバスから高山の中心を流れる宮川方面へ向かって車を走らせていると、ポーリング場や大型書店、スーバーが見えてくる。
HIDABITO 021 高山屋台保存会庶務理事 寺地亮平氏
高山祭300年の歴史に礼を尽くし、 子どもたちへと伝承しながら 祭の屋台に人生を懸ける
前日からのあいにくの空模様に、一瞬の晴れ間がのぞいた。宮川に架かる赤い橋を、2台の屋台がお囃子を奏でながら粛々と通り過ぎていく。
HIDABITO 022 渋草焼窯元芳国舎 松山正和氏
手造りならではの風合いと白地に浮かび上がる青の濃淡 職人の技と技が織り成す‘‘渋草調”
土壁づくりの陶房に入ると、壁いつばい無造作に並んだ無数の器に出迎えられた。一つひとつの骨董然とした面構えを眺めながら、
HIDABITO 023 宿灘かぼちゃ研究会 会長若林定夫氏
飛騨の自然の恵みを味方に 試行錯誤を重ねて高山の特産品へ。 精魂込めて宿健かぼちゃを作り続ける
一見、ヘチマの実のようだが、それよりもすべすべして縦縞模様がうっすらと入っている。両手で持ち上げてみると、ずっしりとした手応えを感じた。
HIDABITO 024 有限会社なるせトラン・ブルー オーナーシェフ成瀬正氏、裕子氏
「地方でキラリと光る店を」と夢を掲げ、夫婦で歩んだ30余年。 世界が認める高山のブーランジェリー
開店時間の30分前にも関わらず、店の前にはすでに7~8組ほど行列ができていた。「神戸から車で6時間かけて来たんです」。聞くともなしに最前列の客の声が耳に届き、あらためて全国から客が訪れる店なのだと実感する。
HIDABITO 025 飛騨高山お宿山久 女将山下良子氏
お客様の笑顔を糧に、ぬくもりあるおもてなしで 国際的観光都市の発屎に尽くす
高山は、古い町並ばかりではない。小高い丘陵地に寺社が建ち並ぶ東山遊歩道の、しっとりした風情もまた観光客の心をくすぐる。お宿山久は、えび坂から遊歩道へと続く途中に佇んでいる。
HIDABITO 026 高隆山素玄寺 住職三塚泰俊(みつづかたいしゅん)氏
高山の町と文化の礎を築いた金森長近公の菩提寺を守り、 人々の心の拠り所であり続ける
東山遊歩道という高山の散策スポットをご存知だろうか。古い町並からは歩いて10分ほどの高台に、由緒ある寺社が南北に連なるように建っている。
HIDABITO 027 飛騨高山蒸溜所有限会社舷坂酒造店 代表取締役有巣弘城氏
大自然に抱かれた廃校を舞台に、郷土愛とビジネスセンスで 高山の新たな魅力を創造
高山の市街地から土を走らせること30分。北に乗鞍岳、南は御嶽山に囲まれた高根町は、近年キャンパーたちが多く訪れるエリアだ。
HIDABITO 028 小屋名しょうけ保存会 会長 森 久治 氏
先祖の想いが脈々と息づく久々野で ひたむきに民具の伝承に力を注いで
高山には町に愛され観光客の心を掴む、祭りや市(いち)が様々ある。毎年1月24日に開催される二十四日市もその一つだ。会場となるのは本町通りと安川通り。竹かごやしゃくし、笠といった民芸品を販売する露店がずらりと並び、買い物客の目を楽しませる。もとは農家の人が稲刈り後の農閑期に作った日用品を、旧暦の12月24日に歳の市で売ったのがはじまりという。一日限りのこの市に今年は約3万2000人が訪れ、雪の降りしきる中であたたかな賑わいを見せ
HIDABITO 029 宮笠 問坂 義一氏・和彦氏
宮笠は飛騨一之宮の誇りであり財産 父と息子二人で伝統の技を守っていく
毎年春になると大ぶりの枝に満開の花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませる臥龍桜。その樹齢は1100年余。台風被害や枯死の危機を何度も乗り越え、長い年月の間、山里を見守ってきた。この国指定天然記念物がある飛騨一之宮で、江戸時代から村人たちの日常に溶け込んできたのが“宮笠”だ。
HIDABITO 030 チームやってみん
飛騨清見の豊かな自然と人の温もりに魅せられて 観光協会の5人組が様々な「やってみん」を提案
高山市の西部に位置する清見町。その96%あまりを森が占め、暮らしの身近なところに森がある。馬瀬川の清らかな流れに沿うように町の南北を縦断するのは、飛騨・美濃せせらぎ街道だ。高山の市街地と下呂市や郡上市を結ぶ葉樹林の並木道が、四季折々に表情を変えてドライバーたちの目を楽しませる。